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硬派伝説95人のバカパンクス外伝【黄金のオッサン】
あるところに百式地蔵というオッサンがおった。オッサンは寿司職人だった。

百式は素晴らしい寿司職人だった。
しかし百式には誰にも言えない秘密があった。
百式は半月の晩、発光するのだ。
百式はその事を誰にもいわなかった。
だって、君だって僕がある晩発光やなんかをしちまったら腰を抜かしちゃうだろ?
ほんとさ、こればかりは嘘じゃないんだな。
チェッ、ケチな話だよ全く。

しかし百式はある晩ミスった。
発光している所を隣の蕎麦屋の娘(中島美嘉似)に見付かってしまったのだ。

隣の蕎麦屋の娘は名前をチトセと言った。
チトセは発光する百式を見て冷静に言った。
「かぶと虫みたい」と。
これは百式にとってはショックだった。
なぜなら、百式は自身の発光現象をコンプレックスと考えていたが、同時に発光は百式にとって自分が自分である故のアイデンティティでもあったからだ。
それを昆虫扱いされたらそりゃショックというもんである。
そう思うと百式はさらに発光した。
百式の輝きはダイヤモンドの比じゃなかった。
チトセは「すごい、まるで極楽蝶だわ」と言った。
百式がちょっと嬉しそうな顔をした。百式の発光はちょっと止まった。
「おー、こりゃひどい。まるでマックの包み紙」とチトセは言った。
すると百式はまた発光した。さっきよりも発光した。
「君はめんどくさいヤツだなー」とチトセが言うと、さらに百式は発光し、もはや百式の姿は見えなくなってきた。
「おー光る光る、近所迷惑も甚だしい限りね」
その発言を受け、百式の発光度合いたるやもはや近辺の闇を滅し、現在時刻を疑うまでになった。

蕎麦屋に隣接する米屋の若旦那が「なんでえ、今日は朝が来んのがはえェなァ」と起きてきた。
「さっき寝たばっかなのにサ」米屋の嫁(美人)も起きてきた。
「電子レンジってこんな気分かしら」とチトセが言った。
気付くと町民全員が目を覚まし、朝を感じていた。
町民は気付かぬ内にいつもより数時間早く活動を始めた。
チトセはその根元に向かって話しかけた。
「良かったじゃん、朝になった気分はどう?」
根元はただ発光するだけだった。

太陽が登り、真の朝が来た頃、もはや発光の根元はどこだかわからなくなってしまった。
百式はどこで光っているのか良く分からなくなった。
その後、通常通り夜が来た。別にどこも光ってなかった。


男が寿司屋に入った。
いつものオッサンの代わりに娘が寿司を握っていた。
男は娘にオッサンはどうした、と聞いた。娘は「あの人、恥ずかしがり屋さんだから」と要領を得ない返答をした。そして娘は付け加えた。
「あんなに目立つ恥ずかしがり屋もいないけどね」

【完】

# by gudon696 | 2006-12-06 00:08 | 日誌
“硬派伝説95人のバカパンクス”完結編-前編-
…などと浅居が詩的に陶酔してる間に“ドレー”VSパン太郎の激戦は終幕へと近付いていた。
互いの力はほぼ互角。しかし、既に数百人を相手にしていたパン太郎と“ドレー”には体力的な差が開いていた。
「どうした…?“パンクス”クン…!?」
血まみれの“ドレー”が同じくボロボロのパン太郎に言う。“ドレー”の表情にはまだ余裕が見えている。
「ンだァ…?コイてんじゃ…ね…」
「誰が“コイてる”だァ?あァ!?」
“ドレー”がパン太郎の横腹に蹴りをいれた。うめきながらパン太郎は膝をついた。
「いいザマだな“パンクス”ぅ…」
“ドレー”は膝をついたままのパン太郎にさらに蹴りをいれる。
「ほら、立ち上がってみろヨ?オラ、オラ!?」
“ドレー”はさらに続ける。蹴りは次第に強くなっていった。
パン太郎は動かなくなった。
「ケッ」
“ドレー”が煙草を取り出した。
火をつけながら彼は続けた。
「こんなモンかヨ?ガッカリさせんなヨ、 ボク?」
「コ…イ…」
パン太郎が目を開いた。
「コイ…てんなよ…伝説のパンクス…なめんなよ…非力ヤローが…」
「ああッ!?」
“ドレー”がパン太郎の顔を殴打し、さらに攻撃を続けた。
「何が伝説だコラ!?テメーは今死ぬんだヨ!?アア!?どうした!?」
ついに動かなくなったパン太郎を掴みあげ“ドレー”は高笑いを上げた。
「ひゃははは!おいおい、“伝説のパンクス”が“屍のパンクス”に化けてちゃ世話ねーなァ!?」
パン太郎を投げ捨て、ドレーは“松怒鵜隠愚”のチンピラに命令した。
「オウ、こいつ押さえとけや」
「ウ、ウス!!」
チンピラ達はパン太郎を押さえた。
「し、しかし“ドレー”クンは鬼だぜ…。この“バケモン(パン太郎)”オシャカにしちまうなんてよ…」
「オ、オウ。しかしあんなに“キレ”まくってる“ドレー”クン、今まで見たトキねーぜぇ…?いってェーこいつに何だってあんなに…」
ドレーがギターを持って帰ってきた。
パン太郎のグレッチであった。
「ド、“ドレー”クン!?それをいってぇ…」
「オウ、“パン太郎”」
チンピラを無視して“ドレー”が動かないパン太郎に問掛けた。
「聞えてんだろ?テメーに選ばせてやる。」
“ドレー”はグレッチをかざして言った。
「テメーが自分でこの“ギター”を壊せば命だけは助けやる。そうじゃなきゃ…俺がテメーをこのギターでぶっ叩く。この鉛入りの“グレッチ”でよぅ…」
貴重なヴィンテージのオールド・グレッチに鉛を仕込むとは罰当たりロッカーもいいトコだが、少なくともそんな物で“ドレー”から殴打されたら、まず死ぬ。
「さあ、選べや。」
「…」
回りにギャラリー的に集まりだしたチンピラが小声で話だした。
「お、オウ、なんだって“ドレー”クンはあんな真似を…」
「タコ、ありゃパンク嫌いの“ドレー”クン流の“洗礼の儀式”ヨ。」
「ア?“煎餅(せんべい)一式”だぁ?餅吉かコラ?」
「タコ、“洗礼の儀式”だってンべ。“ドレー”クンは“パンク野郎”にテメーの“魂(ギター)”をぶっ壊させる事で“パンク野郎”の『パンクスとしての自分』をぶっ壊させ、『パンクなんかくだらねー』っつー事を認めさせようとしてんのヨ」
「あァ?俺は薄焼きサラダ味がいっちゃん好きだがよ、つまりアレかよ、“人間やめますか?パンクスやめますか?”って事かヨ…!?」
「そういう事ヨ…。」
「“人間やめますか?パンクスやめますか?”…。」
「そら“パンクス”やめるわ…。」

「どーしたァ!?早く選べや!?」
「お…れ…は…」
パン太郎がうめくように喋りだした。
「死ね…ねえ…んだよ…“それ”を掴むまでは…よォ…」
「“それ”だぁ…!?」
「“それ”を…“そいつ”を…」
パン太郎が目を見開いた。
「“パンクロックの向こう側”をよぉ…!!」
「パ、“パンクロック”の…」
「“向こう側”…!?」
「ま、全く意味が分からねぇ…!」
パン太郎の“パンクロックの向こう側”発言にざわめくチンピラ達だったが、“ドレー”の表情は怒りで凍りついていた。
「いいてぇ事はそれだけか?」
ドレーが最後の問掛けをした。
「…“クソくらえ”…だ…ッ!」
「くたばれクソ野郎ッ!!」
“ドレー”がグレッチを振り上げた。
「う、うわー!!」
「“ドレー”クン、やめ…ッ」
「あの世でシドにサインでも貰って来いやーッ!!」
ついにドレーがギターを振り下ろした。

ガシュッ!!!


全員が目を背けた。どうなるか容易に想像できたからだ。
一人のチンピラが勇気を出してパン太郎の方を見た。
血まみれのパン太郎がいるであろう現場に目を向けた。
「うわああああああ!!!」
チンピラは叫び声を上げた。
それは血まみれになったパン太郎に慟哭して…では無かった。
そこにあったのは侍の如く見事にギターを両手で受け止めたパン太郎の姿であった!!
目を閉じてギターを受け止めたままパン太郎が呟いた。
「これぞ…“真剣グレッチ白羽取り”…ッ!」
チンピラがざわめいた。
「し、“真剣グレッチ白羽取り”だとー!?」
「み、見事!!」
「あ、あの野郎またやりやがったぜ!?“ドレー”クンのギタークラッシュを素手で止めやがった!」
これに一番衝撃を受けていたのは言うまでもなく“ドレー”であった。
「バ、バカな…さっきまで虫の息だったオメーが何故…」
「“カンタン”だぜ…?」
「!?」
「俺の“グレッチ”は“真の硬派魂(ロックハート)”を持つものを傷付ける事はできねえ…。故に、“グレッチ”で俺がぶん殴られるなんて事は“100%”ありえねぇ!!俺は“グレッチ”から身を守ったんじゃねぇ…。“グレッチ”に守られたのよ!!」
「な、なんかよく分からんがスゲェ!!」
「そして、俺の“グレッチ”は…」
いつのまにかパン太郎の手には“グレッチ”があった。
「ロックをバカにするやつを絶対にゆるさねーー!!!」
パン太郎が空に高く舞い上がった。
「“ドレー”!!これが“硬派神(ロックゴッド)”の怒りだーッ!!」
パン太郎が空中より剣術のごとく舞いながら“ドレー”の頭めがけてギターを叩きつけた。
「喰らえッ!秘天パンクス流最終奥義ッ!!」ドレーを切り裂くかの如くギターが弧を描いた。
「“天翔暮痴閃(あまかけるグレッチのひらめき)”ッッ!!」
チンピラ達が叫んだ。
「で、でやがったー!!“天翔暮痴閃(あまかけるグレッチのひらめき)”だーッ!!」
「あ、あの野郎、かの情緒不安定の凄腕剣各ですら完成出来なかった技を“グレッチ”で完成させやがったぜ…!!」
「お、俺、パン太郎の頬に十字キズが見えてきたぜ…!?」
パン太郎が地面に降り立った。
ついに“ドレー”を完全に沈黙させた瞬間だった。
「す…」
「すげぇーーッ!!」
一夜限りの茨城連合達が歓声をあげた。
「あ、ありゃホンモンの“バケモン”だぜー!あ、あの“ドレー”を倒しちまいやがったぜ!?」
「あの“松怒鵜隠愚”の頭を…いや、“松怒鵜隠愚”を一人で潰しちまいやがったぜ!」
“松怒鵜隠愚”のチンピラ達は言葉を失った。
「嘘だろ…?あの“ドレー”クンが…あんなヤローに…」
「ド、“ドレー”クン、ホントにもう駄目なンかヨ…!?」
ギター片手に無言だったパン太郎が口を開いた。
「終りだな、“ドレー”よぉ…。オメー、いってぇなんだって…」
話を遮断するように突然パン太郎の前に1台の単車が止まった。
それは浅居であった。
「誰だテメー?」
「浅居…“武乱鬼威”の頭だよ。」
「それがどーしたコラ?」
「友達起こしにきたんだよ。あと…」
「あ?」
「“アンタ(パン太郎)”と喧嘩しにさァ…?」
(続く)

# by gudon696 | 2006-11-07 00:49 | 日誌
入院中特別企画『95人のバカパンクス』第7回
光壱のバイクが唸りをあげて“疾走”ってくる。
その距離は10mといった所だろう。
光壱はゆっくりと、そして不気味にハニ夫へと近付く。
その距離はあっというに3mを切った。
すぐさま彼はスパイクのついた前輪を浮かせ。ウイリー走行へと切り替えた。
「壊れちゃえよ…」
光壱の目はすでにブッ飛んでいた。
「壊れちゃえよ、ねぇ壊れろよ、さあ壊れろ、死ね、そして死んじゃえよ、さあ死ねよぉー!!」
彼はついにハニ夫に直撃した。
ニヤリと笑った光壱はわざとエンジンを止めた。
トゲ付きの前輪はハニ夫の顔にぐしゃりとめり込んでいた。ウイリー走行の理由はこれだったのだ。
「ひゃはははは!?“カツオブシ”みてーに顔の皮削ってやンよォ!?」
光壱は自ら単車に細工したと思われるレバーを引き上げた。
“ギャリリ…!ギャリ…!”と恐怖の音を立てて前輪…殺人車輪だけが回転を始めた。
「ひゃァーーハッハッ!!」
「出てくるのは“ブタエサ”か!?それともドロドロの“ゾンビ”かなァーー!?」

“ギャリリ…!ギャリ…!ギャリリ…!ギャリ…!ギャリリ…!ギャリアアアア…!”

“鬼畜童子”の笑い声と悪夢のような音が響く。
近くにいたチンピラ達は“松怒鵜隠愚”も観客も、みな凍りついた…いや、心から恐怖していた。
「おい……な、何やってんだよ“鬼畜童子(アイツラ)”……あ、ありゃ喧嘩じゃねぇ…、“人殺し”だ…!人間がやれるようなこっちゃねぇ…、まるで家畜を殺すように…」
「い、いやそれ以上だ…、なんだよ、なんなんだよアイツ等…」
しかし、誰も止めに入る者はいなかった。
理由は明確だった。
“恐怖”それだけである。

「さ、光壱。そろそろお止め。」
「ウン、分かったよ剛志クン。」
光壱は殺人車輪の回転を止めた。
剛志が笑った。「タイヤをどけて“完成品”を見せてヨ…!」
光壱がニヤリと笑う。「さあ何が出てくるカナ~!?」
光壱がタイヤを上げると、そこには血まみれで何が何だか分からなくなった“カオ”があった。
「アラ?思ったより綺麗ねェ!」
「“鍛え方”が違うんだろうねェ!」
確にその通りである。トゲ付きの鋼鉄車輪で顔を削られたら骨まで破壊されてもまるで不思議じゃない。
ハニ夫は一言を喋らなかった。これもまるで不思議じゃなかろう。
「もしもぉ~し?“生きて”るぅ?」
「剛志ぃ~、もうコレ“コワレ”ちゃってるよ。」
「え~!なんだよつまんないなあ…!」
「マアマア。こんなにドキドキする“喧嘩(ゲーム)”久しぶりだったじゃん…!」
「そうだネ…。それじゃあ古い“相手(ソフト)”には別れをつげて…」
剛志はチンピラの群れの方を見た。
「新しい“相手(ソフト)”で楽しく“遊戯(ゲーム)”しなきゃネ…?」
チンピラ達はまた恐怖した。
「うわあ…」
「や、やめろ…」
“鬼畜童子”二人は不気味な笑みを浮かべながらVMAXに再び跨った。
「さあ行くヨ!?“玩具(オモチャ)”クン達ぃ~?」
「マ…デ…」
「!?」
二人にうめく様な声が聞こえた。
それは…ハニ夫の方からだった。
「あ・・・?」
ハニ夫がムクリと・・・まるで泥人形のように起き上がった。
ドロドロの顔面に正気と怒りに満ちた瞳が輝き燃え上がっている。
これにはさすがの“鬼畜童子”も言葉を失った。
「何…ヲ…安心シテ…イル…?」
「あ、あう、あ…」
「こ、光壱…、コ、コイツ…」
「オレヲ…相手ニシテ…安心シテイイノハ…」
ハニ夫は頭を指差した。
「“頭(ココ)”ヲ…ブッ壊シタ時ダケダ…!」
「う…う…うわああー!!」
光壱が頭を抱えて絶叫した。
「“バグ”だヨ!!こんなのありえないヨ!!こいつ“バグ”だよぉ…!?」
「ねぇ、光壱ぃ、逃げようよ!オレ、コイツ“恐怖(コワ)”いよぉ…!」
二人は急いで単車に跨り、逃げ走り始めた。
が、ハニ夫は高く飛び上がり、“鬼畜童子”の前に立ちはだかった。
「うわあああああ!!」
「“外道”ニ情ケハ無イ…!!」
ハニ夫は単車を二人を乗せたまま持ち上げ、なんとそのままジャンプし、空中から単車を地面に叩き付けた。
単車ごとモロに地面に激突させられた“鬼畜童子”二人は倒れたままバタバタと苦しみ始めた。
二人とも単車から漏れたガソリンでびしょびしょだった。
「あう…あ…痛いよぉ、臭いよぅ…」
「ネ、ネェ、もうイイヨぉ、早く“ママ”の所に帰ろうよお…」
二人の前に再びハニ夫が立ちふさがった。
「“電気人間”ヲ知ッテイルカ…?」
どっから持ってきたのか電極を両手に持ちながらハニ夫が喋り始めた。
「人間ハ皆、大小ノ差ハアルガ体ニ“静電気”ガナガレテイル。“電気人間”ハ産マレツキ体ニ高電圧ノ“電流”ガナガレテイル…。ソシテ…」
ハニ夫が地面に漏れたガソリンに電極を当てた。
ガソリンは“鬼畜童子”二人に繋がっている。
二人が何かを察して恐怖した。
「うわ…!!」
「やめ…!!」
ハニ夫が叫んだ。
「オレハ“超高電圧電気人間”ダ!!!」
次の瞬間、“鬼畜童子”二人が激しい火花を散らし、“超感電”を起こした。
「アギャアアアアー!!」
「ドビビビビ…!!」
「マダダ!!」
ハニ夫がさらに電圧を上げた瞬間、ついに辺りは“鬼畜童子”もろとも爆発を起こした!
粉塵が上がる。
ハニ夫が放電を止めた。
粉塵の中からアフロのドリフ頭と化した“鬼畜童子”二人が固まってしまったように立っていた。
「ケフッ…」光壱が煙を吐き出した。
「“GAME OVER”だネ……?」
そう呟いて二人は事切れた。
“鬼畜童子”、初めてにして最後の敗北の瞬間だった。
ハニ夫が二人にくるりと背中を向けた。
「最“凶”最低ノ“鬼畜童子”モ俺ニカカレバ…」
ハニ夫は首を二人の方に回した。
「モロク壊レヤスイ“ガラスの童子(少年)”ダ。」


「うるぁァァー!!」
「飛べやあぁぁぁあぁ!!」
奴隷区VSパン太郎の壮絶な戦いは互いの頭突合いで幕を開けた。
「飛べや“コゾォー”!?」
パン太郎が昼間にヤン憎をパチンコ屋まで吹き飛ばした例のサマーソルトを繰り出した。
が、奴隷区はそれを左手で受け止めた。
「こんなモンかヨ?“硬派(パンクス)”クン…!?」
「言ってるワリには“左手”震えてるぜ?」
奴隷区は唾を吐き捨てた。
「いつまで“シコ”踏んでンのヨ!?」
奴隷区はしゃがんだ状態から体制を戻そうとするパン太郎の隙を痛烈な右足のケリで突いた。
パン太郎はグラついたが倒れはしなかった。
「“蚊”でも刺したかヨ?」
「言ってろやマヌケぇー!?」
二人は互角だった。
「さすが“ドレー”クン…、噂のパンク野郎とタメはってんじゃんヨ!」
「バカ、何言ってやがんだヨ?チバラギ最強無敵の“ドレー”クンだぜ?俺ァパンク野郎が“ドレー”クンに“パツイチ”かまされて終りかと思ってたぐれーヨ。」
「オ、オウ、そりゃ俺だって“ドレー”クンが強えーコトくれえ知ってンヨ。けどパンク野郎は“化けモン”って話だったからヨ…」
「“化けモン”…?それこそ“ドレー”クンのコトよ。オメーは知らねぇだろーがヨ、あのヒトは“松怒鵜隠愚”の三代目継がせてもらったんじゃネーンだヨ、『奪い取った』のヨ。」
「え?ど、どういうコトヨ?」
「何年か前の話でヨ…、“松怒鵜隠愚”の集会のトキにイキナリ見たコトねーチンピラが乱入して来たんだヨ。それが“ドレー”クンでヨ。2代目総長…、“怒鳴怒(どなるど)”サンってんだけどヨ、そのヒトに『テメエ何だ?』って聞かれて、“ドレー”クン何て答えたと思うよ?『Fuck You。ブチ殺すぞゴミめら』だヨ。」
「マジなんカヨ!?例の借金取りじゃあるめーしヨ!?」
「オオヨ。けど恐ろしいのはそっからよ。“ドレー”クン、一人で当時100人近くいた“松怒鵜隠愚”の連中血祭りにあげたのヨ!」
「ひゃ、100人を一人で!?“鷹の団”の“ガッツ”かヨ!?」
「そして“ドレー”クンは一人残った“怒鳴怒”サンに言ったんだヨ。『“松怒鵜隠愚(チーム)”、俺に渡せや』ってな。当然“怒鳴怒”サンはキレちまってヨ。当時“怒鳴怒魔術(マジック)”と呼ばれ恐れられていたトリッキーな喧嘩殺法を繰り出したんだがよ…。格が違ったんダナ、“ドレー”クンの拳“パツイチ”で“終い(しまい)”ヨ。そして次の日、“松怒鵜隠愚”三代目が誕生したってワケだヨ…」
「ぜ、全然知らなかった…」
「オオ。“ドレー”クンが全員に口止したからな。何の為かしらねーケドヨ。」
「お前、言っちゃったじゃん。」
「…。ち、千葉の“ベンジー”も似たような感じらしいゼ?“魅背流岩選煌徒”とか言うチーム乗っとって“武乱鬼威”立ち上げたっつー…。あの二人は謎だらけなんダヨ。どこから来たかも分からねぇし、何やってたのかもわかんねぇんだ。ただ分かってんのは……“鬼強え”ってコトだけヨ。」
「ふ、二人とも『危険すぎる』ぜ…!」
「ああ、間違いねー…」


浅居は今だ単車に跨り、見物するだけだった。
「べ、“ベンジー”クン!“ドレー”がついにパン太郎のヤツと喧嘩始めたってヨ!」
「知ってるヨ。」
「うん、あの…行かないの?」
「わかンない。」
「そ、そう…。じゃあ俺行ってくるネ…」
浅居が軽く首を振ると、そさくさとチンピラは向こうへ走っていった。
「“♪茶色い瞳の奥にある 黒いところで僕は君の顔見てるんだ―”」
浅居が上を向いて鼻唄を歌い始めた。
「“♪僕は変わってなんかいない 君が変わっただけさ――”」
そこまで歌うと、浅居は鼻唄を止めて呟いた。
「明日は一体、どこに向かうつもりなんだい―?ニック――。」
(続く)


# by gudon696 | 2006-07-12 13:34 | 日誌
入院中特別企画『95人のバカパンクス第6回
奴隷区VSパン太郎による死闘が始まろうとしてる頃、“The 4real Punkers”のリズム隊二人もまた奮闘していた。

「あ、あのモヒカン野郎半端じゃねえー!!」
“The 4real Punkers”のモカヒンのベースシストもパン太郎同様ベースギターを振り回し、大量のチンピラを天国送りにしていた。
「“Love&Peace”が信条のオレに暴れさせちゃダメだぜ?温厚なオレも…」
「オラぁー!!」
殴りかかってきたチンピラをすかさずモヒカンはベースで一撃カマして続けた。
「こう大勢で喧嘩となりゃ、さすがのオレも“Love&Peace”が“Search&Destory”になっちまうからヨォ!?」
「ほほう、お前面白いな?」
モヒカンの前にZ400FXに跨った男が現れた。
千葉の“ミチロー”であった。
「んん?おたく何者?」
「俺は千葉の“星厘”の“左屋遠藤ミチロー”って言うんだけどね、人に名前聞く時は自分から名前言うのが“礼儀(スジ)”だと思うよ。」
「おうっと、そいつは失礼した。俺の名は“スーサイダルパンク煩悩寺”、ダチからは“パン寺(ぱんてら)”って言われてるよ。」
「“パン寺”クン・・・ね。さ、自己紹介もすんだ事だし、さっそくやろうか。」
「・・・“Love&Peace”じゃダメかい?」
「残念だけど…“クソクラエ”だね。」
「そうかい…。じゃあ…」
煩悩寺はベースをぶんなげた。
「“Search&Destory”でヨロシクゥ・・・!?」

さて、実のところ“The 4real Punkers”で最も大暴れしていたのはパン太郎ではなく、巨体のドラマーの方であった。
「ヌググウウアアァァ!!」
「うあぁあ!!」
巨体ドラマーは5人程を一度に潰しながら持ち上げ、地面に叩き付けた。
それを終えると今度は単車を片手で持ち上げ、チンピラの群れに投げつけ、爆発させた。
「ドラム・・・叩クノ邪魔シタヤツユルサネエ・・・!!」
その姿はまさに“悪魔”であった。
「ねぇ・・・光壱ぃ、アレ見てよォ・・・」
「ひゃは・・・!?楽しそうな“玩具(オモチャ)”じゃん・・・!?」
「それにすっごく頑丈そう・・・!」
「うん、他の“人間(オモチャ)”すぐ壊れちゃってちっとも面白く無いんだもん!」
「あれなら沢山“遊戯(アソ)”べるよ・・・!」
「ひゃはは!?行こうよ!」
“鬼畜童子”はVMAXに跨り、巨体ドラマーの方に“疾走”って来た。
“鬼畜童子”はなんと、そのままドラマーに単車で突撃、轢き殺しに来た。
「ひゃははは!?死んじゃえよォ!?」
「ムンッ!!」
が、ドラマーは何と時速120kmで向かって来た単車を素手で受けとめ、そのまま単車を地面に押し付けてタイヤの回転を止めた。
“鬼畜童子”二人は一瞬、ぽかんとした後、ぶるぶると震えだし、そして笑いだした。
「クヒッ!?光壱ぃ、カレって・・・」
「ケヒヒ!?“極上”みたいジャン!?」
「すごいよォ、ボク“鳥肌”立ってるウ!!」
「ボクもボクも!こんなの初めて人“ボコった”時以来だよォ!」
「うひひ!?ねぇボク、お名前は何て言うの?」
「…鋼鉄土偶ハニ夫・・・」
「フーン!“ハニオ”クンって言うのかあ!
見た目に似合わずプリチーなお名前ネ!」
「ねえ、“ハニオ”クン、“鬼畜童子(ボクラ)”と“喧嘩(アソ)”ばない?」
ハニ夫は答えた。
「オマエラ・・・殺シテヤンヨ・・・アトカタモナイ“ヒキニク”ニスル・・・」
二人が武者ぶるいしはじめた。
「クヒヒ!?カレ、“ゴキゲン”じゃん!?ねえ光壱クン!?」
剛志がそう言うと、光壱が突然歌い出した。
「君が~♪君が~♪」
剛志が天使のような悪魔の笑顔を浮かべた。
「“本気(マジ)”に“ドエレー”喧嘩するなら~♪」
光壱が腕に巻いてたチェーンをブンブン振り回し、地面に叩き付けた。
「相手は“鬼畜童子(ボク)”しかいねーよなァ!?ねぇ“ハニオ”クン!?」
「ひゃは・・・!?光壱ぃ、そりゃ“東京少年(ちげーやつ)”のウタだべ?!」
「クヒヒ!?さあ“遊戯”ぼうぜ“ハニオ”クン!?」
ハニ夫が雄叫びをあげた。
「一秒デモ早ク・・・殺シテヤル・・・!!」


「まいったな・・・」
倒れているミチローが呟いた。
「こんなに簡単に負けちゃうとはな。」
「いや…」
複雑な表情の煩悩寺が言う。
「アンタ、その傷…」
ミチローの胸には包帯が巻かれていて、そこから血が染みだしていた。
「悪いねぇ…、まともに喧嘩も出来なくて。前の喧嘩でやられて“入院中”の身なもんでねぇ。」
ぐふっ、と彼は血を吐き出した。
「アンタ、何でその体でわざわざここに来た…?何でその体で俺に喧嘩を売った!?」
「元々、喧嘩には軽ーく参加するだけのつもりだったよ。だが、アンタ等を見たらどうしてもアンタ等を“喧嘩(試し)”たくなってな。」
「…。じゃあ、そもそもなぜここに来た?その体で…!」
ミチローは暫し沈黙した。
煩悩寺は無言で返事を待った。
「“ドレー”と…」
ミチローは喋り出した。
「“ドレー”と“ベンジー”が“パンク野郎”に会いに行くなんて聞いたらな…。昔の彼奴等を知ってるヤツなら何かを期待せずにはいられないさ…」
「昔の彼奴ら…?」
ミチローは皮肉に満ちた微笑みを浮かべた。
「…つまらん喧嘩をさせちまった“詫(ワビ)”だ。昔話を聞かせてやるよ。…何とも夢のない昔話をな。」
「…!」


「ひゃはーっ!?飛べヨ!?“怪物”クン!?」
剛志が肉眼で追えない程速い連続キックを繰り出した。
「で、出たぜ!!」
遠方にいたチンピラが彼等の様子に気付いて騒ぎはじめた。
「“鬼畜童子”剛志クンの殺人連続キック…!!喰らった哀れなヤツは一発目のケリでゲロって、ニ発で失神、三発で病院行き、そして四発、五発と続き…10発目を喰らったヤツに待ってるのは“死”だけ…。」
仲間のチンピラが青い面で聞いた。「マジかよ…!?」
「オオヨ。あの殺人キック喰らって、運良く生き残ったヤツ等が皆『川の前で手招きされる夢を見た』と語っててヨ、それで付いた名前が“ケリから始まるミステリー(臨死体験)”よ。」
「ケ、“ケリから始まるミステリー(臨死体験)”・・・!!」
「オウ。5発目以内には止めに入んねーと、弱エーヤツなら三発も喰らえば“オシャカ”ヨ」
「で、でもヨ」
「ア?」
「“ハニ夫(アイツ)”、もう50発くらい喰らってないか・・・?」
「え・・・!?」
そう、ハニ夫は剛志の殺人連続キックを喰らってもビクともしてなかった。
「コ、コイツ…“固ぇ”!?全然ブッ壊れねえヨ!?」
「“イナバ物置”ハ“100人乗っても大丈夫”ダガ…」
ハニ夫は無表情でキックを喰らいながら喋りだした。
「“鋼鉄土偶ハニ夫”ハ“1000人にボコられても超余裕”ダ!!」
「クッ・・・!?物置より丈夫に出来てんじゃねえぞコラっ!?」
「クッ、クッ、クッ。お困りだネ、剛志クン。そろそろ行こうか?」
単車に座って様子を眺めていた光壱が言った。
「光壱ぃ、頼むよォ。コイツ全然倒れないんだモン。」
「クックック。強い“ボス”には“2P同時プレイ”で行かないとネ?」
光壱がVMAXのエンジンを起こした。
「さぁーあ、剛志。しっかりと“ハニオ”クンを捕まえといてネぇ~?」
そう言われたと同時に、剛志はチェーンをハニ夫の首に巻きつけた
「グアアアァアァアアァ!!」
「ひゃは!?光壱ぃ、OKだぜぇ!?」
「よーし“ハニオ”クン、さっきみたいにはいかないヨ…次に君に会うときは…“挽き肉(ミンチ)”だネ?」
剛志が叫んだ。「さあーあ皆見ててねー!?今からボクラは“血ヘドの華”咲かせるヨ!?」
剛志とハニ夫が喧嘩してる間に、光壱はVMAXのタイヤを“殺人仕様”に交換していた。
それはゴムが使われてない全部鉛で出来た特注のタイヤだった。
タイヤの表面は無数の鋼鉄のスパイクで埋め尽されていた。
「“ハニオ”クン良かったねェ!この“遊戯(アソビ)”は極希にしかやらない“トクベツ”な“遊戯(アソビ)”なんだからネぇ!」
「いっぱい使うとすぐに“スパイク”が削れちゃうからネ!ひゃはっ!?」
「ググ…」
「さあ、楽しかったケドお別れだよ“ハニオ”クン?」
光壱は単車のステップを上げた。
そして、ハニ夫を目指して“疾走”りだした。(続く)

# by gudon696 | 2006-07-09 14:14 | 日誌
入院中特別企画『95人のバカパンクス』第5回
「ひゃっはー!!」
「“宴(パーティ)”の始まりだぜー!?」
“松怒鵜隠愚”“武乱鬼威”のチンピラ達が単車を降りて会場のチンピラ達に襲いかかった。
「うわああ・・・!!」
「お、俺達はカンケーねぇじゃねぇか・・・!?」
「るせーナ・・・!?文句があんなら“ドレー”クンに聞けや!?」
会場にはのべ500人以上が集まっていたが、第一部隊の時点で800人強が集まっている“松怒鵜隠愚”連合の敵では無かった。
会場のチンピラ達は“松怒鵜隠愚”の連中にいいようにノされていった。
「オウ、オメーラ!!」
“怒蔵魔蔵”の久作が会場のチンピラ達に叫んだ。
「“松怒鵜隠愚(ヤツラぁ)”キレてやがる、団結して“喧嘩(ヤン)”ねーとのされちまうぞ!!気合い“ブリバリ”入れてけヤ!!」
「オラ、“久作”~!?テメーさっきから何仕切ってやがんだべ?ア?」
声を挙げたのは“亜時勘”の総長“後頭”だった。
「テメー、んな事言ってっトキじゃ・・・」
「気合い入ってンのは“怒蔵魔蔵(テメーントコ)”だけじゃねぇゾ・・・?オウ、“亜時勘(テメーラ)”!“松怒鵜隠愚”のヤツラ生きて帰すんじゃねぇぞ・・・!?」
“亜時勘”のチンピラ達が答えた。
「オ、オス!!」
「“後頭”、オメぇ・・・」
後頭はニヤついた。
「一時的に“亜時勘”と“怒蔵魔蔵”は同盟組むゼ?“君繋ファイブエム”ヨ・・・」
久作も笑った。「ヘ、ヨロシク頼まア。」
この合併劇に他の集団も名乗りを挙げた。
「“狂離(ウチ)”もだア・・・!」
「“番号処女”も同盟入りだ!!」
久作がニヤリと笑う。
「よっしゃあ・・・一夜限りの“茨城連合”、出発(デッパツ)かますぞ!?」

「ねぇ、“ドレー”クゥン・・・?全部“ぶっ壊して”いいんだヨネぇ・・・?」
“鬼畜童子”の光壱が奴隷区に聞いた。
「オウ・・・。ケド“パン太郎”は俺がタイマンでやっからヨォ、手え出すんじゃねぇぞぉ?」
「えー…!」剛志がごねた。
「あんな楽しそうな“玩具(オモチャ)”一人じめなんて“ドレー”クンずるいよぉ・・・!」
奴隷区がニヤつきながらいった。
「まあそう“スネ”んなや。他のヤツは何やったっていいからヨォ・・・。お前等が好きなアノ“遊戯(アソビ)”も好きなだけやっていっからヨ・・・?」
「ほんと・・・!?聞いたかよ光壱!」
「ひゃは・・・!?“ゴキゲン”じゃん“ドレー”くん!?」
「あっはっは!好きなだけ“遊戯(アソン)”でこいや・・・?」
奴隷区はエンジンを吹かし、パン太郎のいるステージへと向かった。
「クックック・・・」
“鬼畜童子”の二人はバイクを降りて、チェーンを拳に巻き付けた。
光壱が叫んだ。
「さあさあボク達ぃ~~?
“鬼畜童子(キチクキッズ)”の“殺る気”まんまん“喧嘩(ソング)”の始まりだぜ・・・!?」

観客と“松怒鵜隠愚”の乱闘は徐々に壮絶になり始めていた。
しかし何故か浅居はその場で単車に跨ったままだった。
「べ、ベンジークンいかないの?」
“武乱鬼威”の旗持ちが聞いた。
「まだいいヨ。」
「な、何で?」
浅居は旗持ちをにらみつけた。
旗持ちの血の気が引いた。
が、浅居はプイとステージの方を向いた。
「観学・・・したいから。」
「そ、そうナンダ。」
そう言った次の瞬間だった。突然、旗持ちは背後から鉄パイプで頭を殴打された。
頭を割られた旗持ちは言葉もなくその場に倒れた。
「“ベンジー”ぃ・・・?!調子に乗って高見の見物気取ってんじゃねぇぞォ!?」
鉄パイプの犯人は観客の一人だった。
「仲間以外は・・・」
浅居は単車に跨ったまま冷静に言った。
「その名で呼ぶなヨ?」
「ア?テメーあんま調子こいてんじゃねぇぞ?千葉のイモなんざ“亜時勘”のナンバーツー、盛壱様がぶっ殺してヤンヨ!?」
浅居は溜め息をついた。
浅居は指で鉄砲の形を作り“盛壱”にそれを向けて言った。
「“BANG(バン)”…!」
浅居は肩で笑った。
「お前の頭今吹き飛ばしたぜ?」
“盛壱”はぶちギレた。
「ナンバーツーを…」
彼は鉄パイプを大きく振りかぶった。
「ナメてんじゃねーっ!!」
が、次の瞬間。浅居が単車と一緒に彼の視界から消えた。
「あっ・・・!?」
「ここだよ。」
浅居の声は上空から聞こえた。
上を向くと、なんとそこには単車に跨ったままジャンプした浅居がいた。
「死になよ。」
「うわあああ・・・!!」
単車のフロントが“盛壱”の頭を直撃し、砕いた。
着地した浅居は動かなくなった“盛壱”に吐き捨てた。
「ゆっくり“観学(みた)”いんだから邪魔すんなよ。」

この“戦争”は圧倒的にバンド&観客の劣勢だった。
数、一人一人の戦力、そしてカリスマ“ドレー”を理由とした団結力・・・、“松怒鵜隠愚”は全てが即席茨城連合とは段違いだった。
中でも一際その恐るべき狂暴性を発揮していたのが“鬼畜童子”だった。
「ひゃははは!?もっと楽しませろやボク達ぃ~~?!」
“鬼畜童子”の二人は既に数えきれない程のチンピラを血祭りにあげていた。
「ねぇ光壱ぃ~?そろそろ“遊戯(アレ)”やるぅ・・・?」
「いいねぇ~!?どの“オモチャ”で“遊戯(アソ)”ぶ?」
「アレなんてどう?」
剛志はガタイのいいチンピラを指差した。“狂離”の総長“漠羅”だった。
「ひっ・・・!?」
「フーン・・・。楽しそうじゃン?」
「決ーまりっ・・・!」
光壱は単車を停めてる場所に走っていった。
漠羅が震えながら喋った。「て、てめえいってぇ何をしでかす気・・・」
剛志が口を指さして言った。「“イイコ”はお口に“チャック”しなきゃダメヨ?」
「てめ・・・、なめんじゃ…」

“ドググッ…!ドグウッ…!”

光壱のVMAXが唸りをあげながら“疾走”ってきた。
「クゥ~、このマッチョな“オト”はチンケな“族車(型遅れ)”には出せないヨネ~?」
「お、おまえ等いってぇ…」
言い終わる前に剛志が190cmはあろう漠羅の背中を掴みあげ、漠羅を地面に思いきり叩き付けた。
彼は頭蓋骨を割られ、一発で失神した。
剛志は失神した漠羅を再び掴みあげた。
「さあ光壱始めようかア?!」
「剛志いっくよオ~!?」
光壱が剛志と漠羅に向かって走ってきた。
光壱は二人の前に停まり、VMAXのリアに装備された輪っかの金具を漠羅の足に巻き付けた。
「ひゃははは!!さあてギャラリーの皆さん、タノシイ“殺戮(ショウ)”がはじまるヨー!?」
光壱はリアに漠羅の足を巻き付けたまま鬼のような高速ローリング走行を始めた。
漠羅は体が地面に擦りつけられる激痛で目をさましたが、既に遅かった。
「たすけて…たすけてくれ…!」
「ひゃははは!何いっちゃってんのボクぅ~?“遊戯(ジッケン)”が終るまで“友達(モルモット)”は“帰せ(逃がせ)”ないヨ~!?」
「ひゃは・・・!?光壱クンってば一人でタノシンじゃってぇ!」
そばにいた“松怒鵜隠愚”を含むチンピラ達は悪寒を覚えた。
「オ、オイありゃやりすぎだぜ…マジに死んじまうって…」
「止めた方がイイんじゃねぇか・・・!?」
服が脱げ、背中の肉が焦げ始めた漠羅は再び気を失っていた。…死んでいるようにも見えた。
「も、もう止めさせた方が…」
「バカ野郎…!テメーがやられてーのカヨ?」
「うう…」
「オ…オオ~!!?きたきたあ!!」
剛志が漠羅の様子を見て興奮しはじめた。
「“ゲージュツヒン”が出来たよォ!光壱クン、単車を停めて見せてギャラリーの皆様に見せておやり!?」
光壱が単車を停めた。
「ウン、分かったよ剛志クン。」
光壱が単車を降りて、仰向けに失神していた漠羅を裏返して背中を見せた。
「う…うげぇ…!!」チンピラ達がどよめいた。
漠羅の背中は背中の肉をえぐられ血まみれになり、両肩から10cm程下がった最も地面に肉がえぐられた箇所からは白い骨が見えかかっていた。
…まるで血に染まった羽のように。
「さあさあ皆サン!これが世にも珍しい“血染めの羽”だよォ…!?」
「すっごぉい!“彼の背中には羽がある”ぅ!!血に染まって素敵ぃ!!」
いあわせた全員言葉もなかった。
「ア、アイツ等ただこれだけの為に…」
「ヤベエ、ヤベエよ、アイツ等理屈もクソもねえ・・・!自分等以外の人間を“実験台(モルモット)”としか考えてねえ・・・!!」
“鬼畜童子”の二人が他のチンピラ達の方を向いた。
「さあて、次は誰で“実験(アソ)”ぼっかなア~?」

唯一、“松怒鵜隠愚”が手も足も出せない状態にあったのはステージ近辺であった。
そう、“The 4real Punkers”の三人が“奮戦(たたか)”ってる場所だ。
「オラオラ!!雑魚はオトナシク一発でノされろや!!」
ギターを振り回しながら戦うパン太郎は無敵であった。
既に何十人ものチンピラを一人で地獄送りにしていた。
「2000人いようが、20000人いようが、このパン太郎様が一人で全員血祭りにしてヤンヨ!!さあ、聞かせろや!!“破壊(パンク)”の音をヨオ!!」
「テメエ等あー!パン太郎に手え出すんじゃねえー!!」
叫び声とZIIの爆音が聞こえた。
そう、奴隷区だった。
「“パン太郎(そいつ)”はテメエ等がかなう相手じゃねえヨ?それに“パン太郎(そいつ)”は・・・」
奴隷区は単車を停めた。「オレの“獲物(モン)”よ・・・!?」
パン太郎が奴隷区の方をにらんだ。
「テメエかよ、オレの“GIG”を邪魔する“黒幕”はよオ?」
「そういう事になるな?」
奴隷区はパン太郎の方へと歩いてきた。
「さてと、じゃあ…」
奴隷区は“特攻服(トップク)”を脱ぎ捨て、サラシの巻かれた上半身を露にした。
「始めるかい・・・!?“宴(パーティ)”の“タイマン(メインショウ)”をよオ!?」
パン太郎がギターを地面に落とし、奴隷区の方に走り出した。
「上等だアァァー!!!」
(続く)

# by gudon696 | 2006-07-05 13:15 | 日誌
入院中特別企画『95人のバカパンクス』第4回
『ヨウ!オメー等“ゴキゲン”かヨー―!?』
「“ゴキゲン”だぜー―!!」
三曲目が終った時点でライブの盛り上がりは既に頂点を向かえていた。
もはや会場に喧嘩の事を考えてるヤツ等いなかった。
今現在、彼等の頭にあるのは――パン太郎の“うた”だけだった。
『ようし、次も“飛びっきり”なヤツいくゼ・・・?“シドにヨロシク”!!ワン、ツー、スリー、フォー!!』
「イエー!!」
「ゴキゲンだぜー!!」
パン太郎がラモーンジィなゴキゲンフレーズを弾き出した。
「ヨオ、ヨオ。」
「ア?ンだコラ、人がノリノリで“ポゴ”ってる時によ?」
「ンかヨ、単車のオト聞えねーカヨ?」
「ア?“単車”ァ?」
「一台じゃねえべ、チームで流してる…」
「ンなワケねーべ、土曜の夜でもネーのにヨ。でぇーイチ“族”の連中は皆“Live(ココ)”集まってんじゃんヨ…」
「ケドヨ…」
が、これに気付いたのは“彼(チンピラ)”だけでは無かった。
「ヨ、ヨオ…何ヨこの音?」
「こんな日に“流し”カヨ?」
「バカ、“族”の連中は全員…」
「いや…」
「な、何よ?」
「マ、“松怒鵜隠愚(マッドウイング)”のヤツラがいねー…、一人もいねーぞ!」
「マ、“松怒鵜隠愚(マッドウイング)”だア?!」
「そ、そういやそうヨ、…つー事はまさか…」
バイクの集団は肉眼で確認出来る程近付いてきた。
観客達もざわめき始めた。
「ナ、何ヨアレ…こっちに来てんジャンかよ…」
「アイツ等まさか…!」
観客達はバイク集団が旗をかざしているのが確認できた。
英国旗にΧ印を書いた旗だ。
「ユ、“英国旗(ユニオンジャック)”に“Χ印(バッテン)”の旗・・・あ、ありゃ・・・」
「“松怒鵜隠愚”の連中だァー!!」
“松怒鵜隠愚(マッドウイング)”の単車・鳴物の爆音が“The 4real Punkers”の音を喰らい始めた。
「100…200の数じゃねえぞ…」
「1000…いや、に、2000はいやがる!!」
その時、あるチンピラが気付いた。その群れの中にはもう一つ別の旗が挙げられていた。
「オイ、見ろよ!あの旗…」
別のチンピラが叫んだ。
「ち、千葉の“武乱鬼威”じゃねーカヨ…!!」
「ヤツラ同盟組んでたんカヨ!?」
「オ、オウ、なんでも“松怒鵜隠愚”の“奴隷区”と、“武乱鬼威”の“浅居”が昔のツレらしくてヨ…」
観客のチンピラ達は皆、バンドよりも“松怒鵜隠愚”“武乱鬼威”の連合の方に気を取られ始めた。
チンピラ達は慟哭した。
「ア、アイツ等・・・一体何しでかす気ヨ…?!」

“武乱鬼威”の浅居を含む何人かは先頭部隊として“松怒鵜隠愚”の横を走っていた。
「ねぇ、“ベンジー”クン、“松怒鵜隠愚”の連中とツルむのなんて久しぶりじゃン?」
会場に向かっている“武乱鬼威”のチンピラが“疾走(はし)”りながら“浅居(ベンジー)”に聞いた。
「ウン・・・」
「何かドエレー“コト”やらかすンだよネ?」
また別のチンピラが話かけた
「今夜は“屍(シニン)”が出るぜ・・・?」
「ウヘヘ・・・」
浅居は黙ったままだった。
「“パンク野郎”だっケ?可愛そうダヨナ、ドエレー“喧嘩”はヤルらしーケド、“ドレー”に目ぇつけられたら終りダヨ」
「へへへ、しかしヨ、“ドレー”もイカレてるゼ・・・?たかが“パンクス”一人に2000人もゾッキー集めて“宴(パーティ)”なんてサ・・・」
「お前ら・・・」浅居が言った。
「“無礼(うるさい)”ヨ?」
「え?」
浅居は愛車XS250改でチンピラ二人の前を遮るようにトンデも無いローリングを始めた。
「え、ちょっと、“ベンジー”クン・・・?!」
「うわ・・・うわあああ!!」
チンピラ二人は浅居を避け損い、近くのコンクリートに直撃し、血だらけで吹っ飛んだ。
「・・・“無礼(つまんない)”ヤツは“武乱鬼威(ウチ)”にはいらないヨ・・・?」
“武乱鬼威”の連中は焦った。
「ナ、何ヨ?今日“ベンジー”クン、ドエレー機嫌悪いじゃンヨ・・・?!」
「わ、わかんねえんだよ、“ドレー”から連絡あってからずっとああでヨ・・・」
「その“ドレー”も“パンク野郎”の話聞いてから無茶ってるって話ヨ・・・」
「・・・今夜は“本気”にヤベー“宴(パーティ)”にナンぜ・・・!」

“松怒鵜隠愚”の連中は“武乱鬼威”メイン部隊より先頭を走っていた。
「ひゃははー!!“光壱”ぃ~?聞いたかヨ?!今夜は何やっても“ドレー”クンが“ケツ”持ってくれるらしぜぇ~?!」
「へえ・・・?“剛志(ツヨシ)”ぃ~、ソレ“本気”ナンかヨ?じゃあ一人くらい“殺害(とばし)”ちゃっテいーンかナァ~?」
「ひゃっはー!ヤッパオレ達、“殺されるよりも”ぉ・・・」
「“殺したい”・・・!!
“本気(マジ)”だぜぇ~?!」
“松怒鵜隠愚”の下っぱが騒いだ。
「ネ、ネェ、あの二人、チンピラの間じゃ“鬼畜童子(キチクキッズ)”で通ってる“剛志”と“光壱”じゃん・・・!!傷害で“少年院(オリ)”ぶちこまれたんじゃ・・・」
「昨日出てきたラシーんヨ、それを“ドレー”クンが“暴走(ハシリ)”に誘ってヨ・・・」
「マジかヨ・・・。」
「“ゲスト”は“鬼畜童子(キチクキッズ)”だけじゃないぜ?見ろや・・・?」
彼等の目の前に目元にラインを入れた男が“疾走”っていた。
「は、“吐気がするまでリンチ地獄”って“通り名(ナマエ)”で通ってる“ミチロー”クンじゃんヨ!!」
「千葉の“星厘(すたーりん)”から特別参加ヨ・・・。アイツは何しでかすか分かンねーぜ・・・?」
彼はブルッた。
「“武乱鬼威”、“鬼畜童子”、“ミチロー”、そして“ドレー”クン・・・。ど、どうなっちまうんだよ“今夜”・・・!」


『・・・でえ、次の曲だけどヨオ・・・』
パン太郎が4曲目をコールしようとしたが、“松怒鵜隠愚”が気になってる観客達は、誰もパン太郎の話を聞いてなかった。
『コラ!テメー等、そんなに族がめずらしーンか!!曲聞けオラ!!』
観客が叫び出した。
「バカかテメー!“族(アイツラ)”お前狙いに来てんだぞー!多分ー!」
「ちったあ危機感持てやボンクラー!」
『んだテメー等!!族が怖くて“硬派(パンク)”が出来るかー!!そんなモン無視して次の曲行くぜー!!次は・・・』
「“パンクス、血染めのGIG”ってのはどぉーだァー―!?」
ついに会場に到着したバイクの群から叫び声が挙がった。
声の主は奴隷区だった。
「うおお・・・!!」
「“松怒鵜隠愚”の“ドレー”!!」
観客がざわめきだした。
奴隷区がまた叫んだ。
「“ゴキゲン”やってんジャン、“硬派野郎(パンクス)”クン・・・?!」
ムカムカしながらパン太郎が叫び返した。
『“ゴキゲン”だとコラ!?テメーのせいで今しがた、大“フキゲン”になった所ヨ!!』
奴隷区が高笑いした。
『笑ってんじゃねー!!』
パン太郎の怒声が響いた。
同時に、奴隷区の所に浅居が到着した。
「ハハハハ、なかなか愉快なヤローだな、オメーヨ?どうよ“ベンジー”、こいつ“ゴキゲン”だべ?」
浅居は答えなかった。
奴隷区はニヤリと笑い、回りのヤンキー達を見渡した。
「どうよオメー等!?おとなしく“オンガク”に“フケッテ”て満足なんかヨ?トッポイ面して腰抜けばっかダナ?」
観客は静かになった。
奴隷区はまた高笑いをした。
「ナンだよ、本当に腰抜けばっかカヨ?」
すかさずパン太郎が叫んだ。『バッカヤロー!!』
ニヤリと奴隷区はパン太郎の方を向いた。「オ、何ヨ?」
『そいつ等は腰抜けなんかじゃねー…。数分前まで喧嘩しか知らなかった“クソ”チンピラだったのが、オレ達の“ビート(オト)”で“最高”の“チンピラ(パンクス)”に産まれ変わったのよ・・・!!』
奴隷区の顔付きが変わった。「へぇ・・・?」
「そ、そうよ・・・!」
観客達が叫び出した。
「“パン太郎(アイツ)”はオレ達に“喧嘩”よりも大事なモンを教えてくれたのよ・・・!」
「オ、オウ・・・!」
「喧嘩でしか自分を“表現(出し)”きれなかったオレ達に“音楽(パンク)”を教えてくれた・・・!」
「“強いヤツ”と“弱えヤツ”しかねえと思ってたオレ達に、“切なさ”や“嬉しさ”や“温もり”を教えてくれたのよ!!」

“ガシャアアン!!”

浅居が鉄パイプを観客に投げつけた。
「“切なさ”・・・?“嬉しさ”・・・?“温もり”・・・?」
浅居が据わった目で喋りだした。
「そんな“コトバ”に“興味”はねーぜ・・・?オレが興味あんのは“単車(鉄の固まり)”に跨って・・・」
浅居は叫んだ。
「テメーの“生死(イノチ)”揺らすコトだけよ!!」
「ひゃっはっはっー!!」
奴隷区が最後の高笑いをあげた。
「だってヨ!?“パンク野郎(クソヤロウ)”!!どーすんだア・・・!?」
『……』
パン太郎は暫しの静寂の後、マイクを握った。
『“硬派(パンク)”っつーのは…』
パン太郎は呟くように続けた。
『何かを“ぶっ壊して”いく“オト”をギターで鳴らしたモンよ。…だったらよ・・・』
パン太郎はギターストラップを肩から外し、右手でギターをネックを掴んでマイクで叫んだ。
『本当に“ぶっ壊す”音は最高に“Destroy(パンク)”だと思わねぇかア~~!!?』
パン太郎がギターを床に叩き付けた。
意味はもちろん“かかって来やがれ”だ。
奴隷区から完全に笑顔が消えた。
「“上等”だよ・・・?」
奴隷区がむちゃくちゃな声で仲間に叫んだ。
「オメー等、“観客”も“バンド”も全員“挽き肉”にしてやれよォ!!?“宴(パーティ)”の始まりだぜ!!」
族達は雄叫びを挙げて会場に殴り混みを開始した。
“血の宴(パーティ)”がついに始まってしまったのだ。(続く)

# by gudon696 | 2006-07-02 23:25 | 日誌
入院中特別企画『95人のバカパンクス』第3回
表の様子を見てビビってるのはライブハウスのスタッフも一緒だった。
「今日のライヴヤバくない?」
「絶対ヤバいって、何で警備会社入れなかったの?」
「だってまさか“The 4Real Punkers”なんて聞いた事のないバンドのワンマンにこんな人が集まるって思わなかったから…」
スタッフの亀田さんは溜め息をついた。
「そもそも“The 4Real Punkers(あんな)”バンドにワンマンで貸したのが間違いだって。如何にもバカっぽい話題性だけのバンドでさあ、音楽ホントに好きなのかって。」
スタッフルームにライブハウスの“経営者(マスター)”銭下馬が入ってきた。
「銭下馬さん!あんなのに“ライブハウス(ハコ)”貸してよかったんですか?!」
マスターはかったるそうに答えた。
「いいじゃん、満員だし。」
亀田さんは怒った。
「儲かればいいんですか!?もうずっと前からそうだ、話題だけのどーでもいいバンドばっかり出して…。」
銭下馬は鼻クソほじりながら言った。
「あのねえ、俺は道楽でやってんじゃないの。経営者だよ?売れるバンド出演させて儲けるのは当たり前じゃん。君、給料いらんの?君の給料から引いていいなら民族音楽だろうが変態メタルだろうが好きなバンド出していいよ。」
亀田さんは暫し口を閉ざした。
「…分かりました。今日で辞めさせてもらいます。俺がやりたかった仕事はこんなじゃ…」
聞き終る前に銭下馬はやはりタルそうに立ち上がって答えた。
「あっそう。じゃ、頑張って貧乏してね。あ、ゆっこちゃん、新しい子探しといてね~」
スタッフの雪子は返事をしなかった。
銭下馬は尻を掻きながら部屋を出ていった。
「亀田さん…」
「…。昔はあの人もああじゃなかった。どんな気違いノイズバンドだろうが、変態ジャズパンクだろうが喜んで出してたのに、金の味を覚えてからただの金欲爺になって…」
「…。」
「フ、しかしこのハコでの最後の仕事がよりによって馬鹿なチンピラバンドだなんて、皮肉だよ。」
その時、店内のスピーカーから連絡が入った。
『業務連絡です。スタッフは全員外に出て警備及び整理をお願いします。』
亀田が皮肉を浮かべて笑った。
「行こう、最後の仕事だ。」

開演時間を過ぎてもライヴはなかなか始まらず、店の外のチンピラ達は殺気づいていた。
「オラ、早く“GIGれ(始めろ)”や!」
「怖じ気付いてんじゃねーのかコラー!」
短気なチンピラ達は一秒たりとも待たされるのは勘弁ならなかった。
『えー、もうすぐ開場致しますのでもう暫くお待ちください』
スタッフが拡張器で伝えた。
「待つかボケー!!」
「“怒蔵魔蔵”ナメてんじゃねーぞオラ!!」
チンピラの様子にスタッフも焦っていた。
スタッフの所に銭下馬がやってきた。
「何で開場しないわけ?開演時間過ぎてるじゃんか。」
「いや、バンドが“開場と同時に開演したい”って言うから…」
「何を馬鹿な事…、そんなの無視無視!早く開演しちゃいな!」
「わ、わかりました…。」
スタッフは拡張器を手に取った。
『えー、これより開場…』
『“硬派魂ィーーーッッ”!!“パンクローッック”!!』
突然、店外スピーカーから叫び声が上がった。
声の主はパン太郎であった。
チンピラ達が歓声を上げた。。
「ついに“宴(パーティ)”が始まるぜー!!」
「ヒューーー!!」

が、次の瞬間の事だった。

一瞬、ライブハウスが光った。
その次の瞬間、凄まじい音と共にライブハウスが爆発した。
大破、完全に破壊されのだ。
爆風で全員吹っ飛ばされたが、どうやら死者は奇跡的にいない様子だった。
が、状況を理解出来てる者は誰一人としていなかった。
「これ…」最初に声を発したのは銭下馬だった。
「な、何なの?俺のライブハウスは?ねえ?」
その時、観客、スタッフ達はライブハウス跡地の粉塵の中から三人の人影が見えるのに気付いた。
そう、“The 4real Punkers”の三人であった。
頭がドリフになったパン太郎が煙を吐き出した後、マイクを掴んだ。
「破壊なくして真のパンクは“創造(ツク)”れねエ・・・。だからブッ壊させてもらったゼ。」
暫しの静寂が訪れた。
「・・・・・・」
「・・・・・・ふ・・・」
「ザケンナー――!!」
観客の怒声が大爆発した。
「テメー何考えてやがんだコラー!!」
「やっていい事と悪い事の区別くらいつけやがれボケー!!」
「死んだらどう責任とるつもりだったんだテメー!!」
パン太郎は叫んだ。
『その時は天国までついてって最高の“硬派(パンク)”聞かせてヤンヨ!!』
チンピラ達の怒りはそれでも収まらなかった。
「慰謝料払えコラ!!」
「出るとこ出んぞワレー!!」
「なめてんじゃねえー!!」
その中で一際デカイ怒声が響いた。
「てめえら黙れ!!」
声の主は“久作”だった。
チンピラ達は言われた通り黙った。
「“パン太郎(テメー)”、聞かせろや。何でテメー等は“ハコ(中)”にいた?」
『あ?』
「何で外で爆破を待たなかったのか聞いてンだヨ・・・。」
チンピラ達がざわめいた。
「そ、そういやそうヨ。何でアイツ等爆破するつもりだったのに、わざわざ中で待っててドリフになってンのヨ?」
「ダ、ダベな。馬鹿じゃねえの?」
久作が叫んだ。「“説明”しろや!!」
『・・・真のパンクは“覚悟”から産まれるモンよ。その“覚悟”は“自己犠牲”からしか産まれねえ…。』
「…!」
『ドエレー“破壊(デストロイ)”の為にはドエレー“覚悟”が必要ヨ…。それは・・・すなわち“死”よ。』
チンピラ達はブルッた。
「パ、パンクの為に命までかけンのかヨ…」
「“クレイジー(イカレ)”てやがる…!」
パン太郎が叫んだ。
『ヘッ、“硬派(パンク)”じゃねえなら死んだほうがマシよ!!』
「デ、“Dead or Punk(硬派か死か)”・・・!!」
「“Punk's Not Dead”どころの騒ぎじゃねぇーぞこりゃ・・・!!」
久作がニヤリと笑った。
「“上等(Cool)”じゃねえか!!聞かせてみろよ、テメーの“覚悟(パンク)”をよ!!」
『当然だぜーー!!』
パン太郎がコードを押さえた。
ドラマーがカウントを取り始めた。
『1!2!3!4オォォ!!』
次の瞬間、パン太郎のギター、グレッチ6120が火を吹いた!!
ハードコア・パンクのリフがまるでマグマの様に爆発し、会場の全員がまるで百獣の王ライオンが強化バルカン片手に殺戮を始めたような錯覚に陥った。
『“クソ(Fuck)”!!“クソ(Fuck)”!!“クソッタレ(Fuck You)”!!“マッポ”も“政治家”もGo To Trash(ゴミ箱行き)!!デストローイ!!』
パン太郎の叫びが全員の胸を残酷にも貫いた。
「こ、こりゃ・・・ドエレー“Cool”じゃんかよぅ・・・!!」
「うおー!!なんだか分からねーケド“激情(リビドー)”が止まらねーぞ・・・!?」
チンピラ達が暴れ始めた。
いや…、それは彼等なりの“遊戯(ダンス)”だった。
「ふざけるなよ…」
その様子を見ていた銭下馬が言った。
「こんな馬鹿なバンドに大事な“ハコ(食いぶち)”潰されたんだぞ…。アメリカのスタジアムバンド“ザンス&ハタボーゼス”や“ヘタレカ”も出演した伝統あるライブハウスを…」
「何も感じませんか?」
亀田が言った。
「僕もさっきまで彼等はただの馬鹿だと思ってました。いや、確に彼等は馬鹿です。でも…」
「でも何だ!!ただの馬鹿じゃないか!!いや…犯罪者だ!凶悪なテロリストじゃないか!!常識もクソもない!」
「それですよ。」
「はあ?!」
「それって、最高にロックじゃないですか。ロックに常識なんかいらないんですよ!…アンタ、いつからそんな下らない大人になったんですか…?“戯夢”のガスバーナーライヴを絶賛して、変態ロックバンドを本気でブレイクさせようとしていたアンタはどこに行ったんですか?!」
パン太郎が凄まじいギターソロをプレイし始めた。
彼の背後にジミヘンの霊魂が見えた。
「…。情熱だけじゃ…」
銭下馬が切り出した。
「情熱だけじゃ食っていけないんだよ…。ワイフはよく言ったよ、『お金なんかより情熱をとる貴方が好き』ってね。…その割には俺が借金抱えだしたら出て行きやがったけどな、ククク…」
「…」
「それでどーしようもなくなってよう、当時ヒットしてた“ヘラブナ・ロックス”とか言うクソみたいなバンドを頼み込んで無理矢理出演してもらったのよ。どうなったと思う?…“水戸コンドリア”開店以来初めての満員を記録したよ。バカみたいだった。」
パン太郎はいつのまにか具現化していたジミヘンと激しいギターセッションを繰り広げ始めていた。観客は気違いみたいに盛り上がった。
「その時悟ったよ。情熱なんか…本当の“ロック”なんか何の役にも立たないって事をな。だから俺は…」
「違う!」
亀田さんは激昂した。
「真の“ロック”は金なんかの為にあるんじゃない・・・!」
「じゃあ、何の為に・・・?」
「…“チンピラ(彼等)”の為ですよ。」
ジミヘンがお得意の歯によるギター奏法を披露した。負けじとパン太郎は霊力でギターを弾こうとしたが、パン太郎は魔界探偵じゃないのでそんな事はできなかった。
「チン…ピラ…」
「そう。まともに社会の中で生きていけないハミ出し者達…そいつ等の為の音楽、それこそが“ロックンロール”なんです。」
「…」
「そして…彼等が変えていくんだ…。この腐った世界を…!」
「…!」
「見て下さい、ただの街のチンピラ達が一人の…いや、三人の“馬鹿(パンクス)”に熱狂してるんですよ!これがロックの…革命の狼煙ですよ!!」
天国で覚えたのだろう、ジミヘンの凄まじいライトハンド奏法にパン太郎のギターがユニゾンした。その時、会場は最高の盛り上がりを見せた。
「…“The 4real Punkes(彼等)”は…」
銭下馬はついに口を開いた。
「ライブハウスと一緒に破壊してくれたのかもしれんな…。俺の中の“悪(クソッタレ)”を…。」
「銭下馬さん…!」
銭下馬は笑顔を見せた。
「彼等は21世紀最高のバンドになるだろう。その伝説始まりが“水戸コンドリア(ココ)”だ。」
亀田さんも笑顔を見せた。
「デビュー前のビートルズを見ている気分ですよ。」
「そうだな。決して言いすぎじゃないよ、フフフ。俺も…また一からスタートだな。」
「お供しますよ。」
「賃金安いぞ?」
「フフ、了解済みですよ。」

23分にも及ぶ一曲目が終り、ジミヘンは成仏していった。
パン太郎は大きく手を振った。
『ヘヘッ、伊達にあの世は見てねーぜ・・・』
若干聞いた事のある台詞の後、彼はギターをチューニングし直した。
観客のヤジが飛ぶ。
「パンクスが“チューニング”なんざ気にしてんじゃねー!!」
「さっさと“次の曲”やりやがれ!!」
『うるせー!“アーティスト”は繊細なんだよ!!』
「何が“アーティスト”だー!!」
「どっからどーみても“チンピラゴリラ”じゃねーか!」
『誰が“ゴリラ”だテメー!!』
口こそ悪いが、皆が彼等の音楽を求め始めていた。
チンピラ達の顔に情熱がともり初めていた。
『オラ、バチ当たり共ー、次の曲だ!』
「ウルセー、早くやれー!!」
『行くぜ!“ラスト・パンクス”!!1!2!3!4ーッ!!』


「へェー・・・“飛びッ切り(ゴキゲン)”じゃン?」
ライヴの様子は遠くからも良く見えた。
「ねェ、“ドレー”クン、どう“破壊(盛り上げ)”ンの?」
「ンー?」
彼は悪魔の微笑みを浮かべた。
「“爆薬(ダイナマイト)”持ってこいヨ・・・?“ガソリン入りの瓶”でもOKだからヨ・・・?」
「へへへ・・・“了解(オッケー)”・・・!!」
「タノシク“遊戯(アソ)”ボーぜえ・・・?今夜はドエレー“宴(パーティ)”にしてやっからヨォ・・・?!」

バンドがあまりに爆音で演奏していた為、“松怒鵜隠愚(マッドウイング)”総勢2000名が会場に近いている事に気付く者は誰もいなかった。(続く)

# by gudon696 | 2006-06-30 16:35 | 日誌
入院中特別企画「95人のバカパンクス」第2回
「よォ、オメー聞いたかヨ?」
「ア?」
「昼間の“硬派(パンク)”野郎の話ヨ」
「“硬派(パンク)”野郎だア~?」
喫茶店にたむろするチンピラ達が話している。
昼間のパチンコ屋での大騒動は既に水戸中のチンピラの間で噂になっていた。
「ドエレー野郎って話ヨ。ヤン憎とハチミツ舐雄の野郎が“手玉”にとられてたってヨォ」
「ヤン憎、ハチミツっつったら“岩怒濤(アグリーロック)”のツートップじゃんカヨ!?あの二人が“喧嘩”で“手玉”かヨ?!」
「いや、俺ァそんトキ見てたけどヨ、ありゃ“喧嘩”なんてモンじゃねえな。“殺戮”よ。上等切ってきたハチの野郎をワンパンでKOしてよ。その上5mぐらいブッ飛ばしやがったのよ。」
「どんな“化け物(モンスター)”よソイツ!?」
「恐ろシーのはそれからヨ。許しを乞うハチミツの野郎に近付いてどうしたと思うヨ?セメント付けされてる両替器引き千切ってソイツでブン殴りやがったのよ!!嘘だと思うなら他のヤツに聞いてみろヨ。マジだからよ。」
チンピラは吸ってた煙草を落とした。
「ンだそりゃ、ドエレーにも程があんジャンヨ…。何て名前のヤロー!?」
「“パンク万太郎”って言ったかナ。噂じゃ東京から来た野郎でヨ、東京のチンピラの間じゃ知らないヤツはいないって話だぜ?」
「“パンク万太郎”…まさか“松怒鵜隠愚(ウチ)”に“コナ”かけるようなマネはしねーだろーナァ?」
“松怒鵜隠愚(マッドウイング)”は茨城最大最凶の暴走族である。
この喫茶店“喫茶ファック”は“松怒鵜隠愚(マッドウイング)”のたまり場になっていた。
「さぁーナ。何でもその野郎、今晩ライブハウス“水戸コンドリア”で“GIGる”らしィーぜ?」
「マジかヨ?上等なヤローじゃんかヨ」
「オウ、でも“ドレー”クンには言うなよ?!“ドレー”クン、ドエレーパンク嫌いだからヨ…。」
「マジかヨ!?“ドレー”クン、パンク嫌いなんかヨ?!」
「オウヨ。理由は知らねえケドナ。この前なんか“THE JAM”のTシャツ着てるヤツ見付けてヨ、“ドレー”クンがそいつに『お前ジャム好きなんかヨ?』って話かけたんだヨ。ソイツが『はい』つったらよ、“ドレー”クンいきなり『ならテメーもジャムに変えてやんよ』つってボコボコしてよ、そいつの顔面“ジャム”にしちまったのよ…」
「“ドレー”クンもパンク野郎に負けじと“凶悪(ヤベー)”じゃんヨ…」
「オウ、だから“ドレー”クンに“パンク野郎”の話すんじゃねーぞ、ドエレーパンク嫌いだから…」
「誰がパンク嫌いだって?」
ふと気付くと彼等の後ろに““ドレー”クン”が立っていた。
二人は焦った。
「ド、“ドレー”クン来てたの?」
「今来たんヨ。それより何だ?何かトンでもねー野郎がいるらしーナ?」
「う、うん。そうなんだよ、“ドレー”クン程じゃナイけどサ」
““ドレー”クン”はニコリと笑顔を見せた。
「そっかヨ。つーかテメー何ブルってんだよ、茶でも飲めや。オウ、ウエイター!“メロンソーダ”二つ!」
ウエイターがそさくさと注文を承諾した。
それを見て““ドレー”クン”は舌打ちしていた。
「まあヨ、“松怒鵜隠愚(ウチ)”に敵うヤローなんざイネーよ。どんな野郎だろうがヨ。」
「そ、そうだよネ。パンク野郎なんか“ドレー”クンの敵じゃないヨ…。でも“ドレー”クン、パンク嫌いだからさ…」
““ドレー”クン”の目つきが一瞬変わった。
彼は“しまった”と思った。
「メロンソーダ二つになりまーす。」
ウエイターが注文の品を持ってきた。
““ドレー”クン”はニコリと笑った。
「ま、パンクなんざどうでもいいワ。俺達は俺達で“遊戯(アソ)”ボーぜ?ま、飲めや。」
チンピラはホッとした。
「チィッス、“ドレー”クンいただきます!“松怒鵜隠愚(俺達)”もゆくゆくは“他県”制覇して…」
チンピラがコップに口を付けた瞬間、““ドレー”クン”はチンピラの頭を掴み、テーブルにコップごと叩き付けた。
店内が静まり返った。
““ドレー”クン”はテーブルに頭をつけたまま血まみれで気絶したチンピラの頭を再び掴み、テーブルに散らばったガラスの破片にグリグリと押し付けながら店内のチンピラ達に叫んだ。
「ソォーよ、俺はパンクなんざ“大嫌い(クソ喰らえ)”よ。だがテメー等が俺にコソコソしてんのはもっと気にいらねえ…!
次に余計な事してみろ、コレじゃすまねえゾ…?!」
““ドレー”クン”はチンピラの頭を持ち上げて顔を見せた。ガラスが頬を貫通し、破片が皮を無茶苦茶にして見れたモンじゃなかった。
「“パンク”野郎だア…?!上等だよ、この“松怒鵜隠愚(マッドウイング)”三代目“肉 奴隷区(にく どれーく)”様が“オシャカ”にしてヤンヨ!!テメー等、仲間ァ“水戸コンドリア”に集めろ。今夜は“パーティ”だぜ?野郎の“GIG”ブッ潰してヤンヨ!!」
「オ、オス!!」
店内にいたチンピラ全員が急いで外に出た。
仲間を呼びにいったのだ。
「ククク…、“遊戯(アソ)”ぼーゼぇ…?“パンク”野郎…!」

“THE 4REAL PUNKERS”開演1時間前。
既にライブハウス“水戸コンドリア”の前は大勢の人でごった返していた。
その全ては昼間の噂を聞いて駆け付けたパンクス、ヤンキー、ギャング等のスジモンのチンピラであり、単なるロック好きの少年少女や、興味本意のパンピー達はライブハウス前の様子を見るなりUターンしていた。
「ヨウ、ドエレー野郎達が集まってンじゃんヨ。」
「ダベな。」
「見ろや、“狂離”“番号処女”“亜時勘”…そして“怒蔵魔蔵”。チバラギの族の幹部が勢揃いダゼ?まるで土曜の夜のパーキンエリアよ。」
チンピラ達が雑談していると、向こうからド派手なモヒカン頭のパンクスがやって来た。
「パンク連中も気合い入ってやがンじゃんかヨ?」
「オウヨ。見ろよアイツ、1mはあるドエレーモヒカンに革が見えネーくれえに釘打った袖ナシ鋲ジャン…」
「雑巾みてーなGパンにジョージコックス履いて、腕にもスゲエ刺青入れてやがってヨオ、まるで80年代の静岡のパンクスよ。」
モヒカン頭の足が止まった。
「オウ、そこのトッポイ兄ちゃん達?」
「ア?んだコラ?」
チンピラはとっさに喧嘩の準備をしたが、彼等の意に反してモヒカン頭は自分の足を指差した。
「こりゃ“ジョージコックス”じゃねぇ。“ロボット”のラバーソールよ。間違えてもらっちゃ困るゼ?」
モヒカンはニヤリと笑った。
「オ、オウ、そうかよ。悪りかったな。」
「俺ア、ラバーソールは“ロボット”ってキメてんのよ、昔からナ。じゃあ、今夜は俺のベース楽しんでくれヨナ?」
「え?!」
モヒカンはライブハウスの中に走っていった。
「さっきのヤツ、メンバーかヨ!?」
「みてェーだな。しかし、『ラバーソールは“ロボット”』って、アイツどこまで“硬派(パンク)”らしいパンクスよ…。」
すると今度は西の方から猛獣輸送車が走ってきた。
車はライブハウスの前で止まった。
「オ、オイ、なにヨ、あの“猛獣輸送車(クルマ)”はヨ?!」
車から檻がはずされた。
中にいるのは人間だった。
「オ、オイ、あれ“人間(ヒト)”じゃねーカヨ!?どーゆう事ヨ?!」
「しかもドエレー“身長(タッパ)”あるじゃんヨ…2m超えてる…いや3mあるんじゃねーンかヨ、アレ…?」
「オ、オイ…、アイツ革ジャン着てるゼ…」
「オイ、まさか…」
檻の中の人間が叫んだ。
「タタカセロ…!!ハヤクドラムタタタカセロ…!!クソッタレ…!!」
ライブハウスの前に溜っているチンピラ達は息を飲んだ。
「…」
「…文字通りのモンスタードラマーかヨ…」
「こりゃあ…今夜は“死人”が出るぜ…」
「オオ…。何しろコイツ等は音楽を楽しみに来たんじゃねえ。“パンク万太郎”の野郎が何をシデかすか“ケンブツ”しに来た野郎と……野郎をブッ殺して名を上げようって野郎達ばかりだからな。」
その時、遠くからバイクの爆音と変な叫び声が聞こえてきた。
「オラオラてめぇ等ー!!太陽系最強の“超硬派戦士(スーパーパンク人)”の“オデマシ”だぜー!!」
ライブハウス前のチンピラ達が騒だした。
「フ、フルチューンのCBX1100!!」
「何てバイクに乗ってやがる!野郎がまさか…」
「どけどけ!!死にたくねぇならどきやがれ!!“パンク万太郎”の“オトーリ”だアー!!」
「うおおー!!野郎が!!」
パン太郎は人混を無視して突撃し、ライブハウス前にバイクを停め、背中にしょってたギターを下ろした。
「よく“集合(き)”やがったなチンピラ共!俺のギターでテメー等の“魂(ハート)”修正不可能なくらいボコボコにしてやっからヨ、覚悟しとけや!!」
チンピラ達の怒声が爆発した。
「黙れやオウ!!」
チンピラの中から声がした。
チンピラ達は静け返った。怒声の主は“怒蔵魔蔵(ドグラマグラ)”の総長“ドリーム久作”だった。
久作はパン太郎に近付いて言った。
「俺達はお前を“スーハイ”しに来たんじゃねえ…。“ブッ殺し”に来たのよ。そこんトコ勘違いしてんじゃネーゾ?」
「ア?テメー等こそ勘違いしてんじゃねーよ。俺は“アーティスト”だゼ?喧嘩してーならヨソ行けや。ただ、どうしてもってんなら…」
パン太郎はギターを指差した。「“音楽(こいつ)”で相手になってやんぜ?」
久作は無表情でパン太郎をにらみつけた。
「ケッ」久作は舌打ちした。
「腰抜め。背中に気ぃつけろや。」
久作は群れに戻っていった。
「ヘッ。じゃあオトナシク待ってな、ボーヤ達。」
パン太郎はライブハウスに入っていった。
またチンピラ達が騒だした。
開演まであと30分を切っていた。(続く)

# by gudon696 | 2006-06-29 20:16 | 日誌
入院特別企画『95人のバカパンクス』
“PUNK”。
そのキャッチーながらも硬派な響きにやれられたBoys&Girlsが今日も増殖している。
しかし、はたして真の“PUNK”とは何なのか?
そして究極の“PUNK”とは?
…これは“PUNK”を素敵に勘違いした95人のバカの物語である。

千葉・茨城と言えばヤンキーのメッカである。
茨城県水戸。今日もこの街のメインストリートにあるパチンコ屋の前でチンピラ二人がモメていた。
「オメー、どこの“シャバ僧”よ?」
「ア?」
「どこのヤツかって聞いてんだよ?」
「チバラギじゃねえな。」
いや、実際彼は茨城の出じゃなかったが、これは十分挑発になった。何故ならヤン憎はヨソモンヅラしてるくせしてド派手な格好をしていたからこそ彼にメンチ切ったからだ。
「“挑発(ナメ)”てんじゃねぇぞボクゥ・・・?あんま調子くれてっと“挽き肉”にしちまうぞコラ!!」
「だったら晩飯はハンバーグできまりダナ?」
ヤン憎、ピキッ。
「愉快に会話のキャッチボール“キメ”てんじゃねーぞコラ!!名前を“ノベ”れや!!」
「パンク…」
「あ?!」
「パンク万太郎よ。」
「ええ?!」
ヤン憎、驚愕。
「よ、よくみたらその鬼“パンク”会の革ジャン…、うおお!!そして“マジパンクバッチ”!!」
「なんだ知ってんのか?」
ヤン憎は全身ぶるぶる震えだした。
「“本気(マジ)”すいませんした!!俺、チョーシこいちまってました!!まさかパン太郎さんとは気付かなかったもんで…」
ヤン憎は膝をついた。鼻までたらして、屁もこいた。
「俺、喧嘩ヤン憎と申します。この“詫び”は後日ピシッとケジメつけますんで勘弁して下さい…」
「オイ」
「あ、はい?」
顔を上げたヤン憎のツラをパン太郎は鋭いサマーソルトで蹴り上げた。ヤン憎は宙を舞った。
ヤン憎はパチンコ屋の店内に吹き飛び、フィーバー中の「CR闇物語3」台の上に落下し、台を粉砕した。
その衝撃で銀玉が弾き飛び、ヤン憎を襲った。全身打撲+αの衝撃を受けたヤン憎はもはやピクリともしなかった。
「オイ、寝てんじゃねーぞ。」
パン太郎が店内に乗りこんできた。
パン太郎はヤン憎の所まで来ると気絶しているヤン憎の胸ぐらを掴んだ。
「ふざけてんじゃねえぞ小僧、起きろコラ。」
ヤン憎はやはりピクリともしない。
その時だった。店の奥から三人のチンピラがやってきた。
チンピラ達はヤン憎のツレであった。
「その革ジャン野郎!!」
チンピラの一人が叫んだ。そのチンピラが来ているTシャツには「明太“粉”」と書いてあった。
「俺のツレに何しやがる?」
「なんだテメーはよォ?こいつのツレか?」
チンピラその2が明太粉Tに話しかけた。
「ハッチャン、こいつ、表でヤン憎が上等切ってたヤツだぜ!」
「何ぃ?」
明太粉Tはクールに言った。
「どこの“シャバ憎”かしらねーが、誰に手だしちまったかこの場で後悔させてヤンヨ。」
「国語も出来ねえ野郎が吠えンじゃんかヨ?いつから明太子は粉末になったんだ?ア?」
パン太郎はTシャツを指差して言い切った。
明太粉Tの目つきが変わった。
「岸井、向田、鉄板用意しとけ。コイツ今すぐ“ハンバーグ”にしてやるぜ」
「やってみろや!!」
次の瞬間、パン太郎はパチンコ台を踏み台にジャンプし、岸井・向田の方へ跳んだ。二人がパン太郎に気付くより早く彼は宙蹴り計8発を岸井・向田にキメた。
二人は何がなんだか分からない内に撃沈した。
明太粉Tは震えた。
「てめえ…一体…」
「うるせえ!」
パン太郎は明太粉Tが喋り終らない内に強烈な鉄拳をかました。
明太粉Tはパチンコ台10台分ほど吹っ飛び、両替器にぶつかった。
「べ、べぶら…ぶ」
パン太郎は明太粉Tの前に立ちはだかった。
「もしかしてお前、まだ生きてられるとか思ってるんじゃないか?」
パン太郎は幽霊漫画のマッチョ妖怪のような台詞を吐き捨てた。
この騒ぎにギャラリーまで集まってきた。
「もう…」
「あ?!」
「もう…がぶべんぢでぐだ…」
パン太郎は眉をピクピクさせた。
「ふざけんじゃねえぞテメー!!」
パン太郎は両替器を両手で掴んで力を入れ始めた。
「あんだ…まざが…?!」
明太粉Tがそう叫んだその刹那、パン太郎が両替器を引き千切った。
「お前、死ねよ。」
パン太郎はそう言い終ると同時に重さ300kgの両替器を明太粉Tに叩き付けた。
恐ろしい音と共に血の池が出来た。
ギャラリーは静け返った。
いつのまにか気を取り戻していたヤン憎と岸井、向田も慟哭した。
パン太郎はぐるりとヤン憎の方を向いた。「さっきのガキぃ~」
パン太郎が近付いて来た。
ヤン憎は気違いみたいに逃げようとしたが、銀玉で滑って逃げ切れない。
ついにパン太郎が目の前にやってきた。
その時、ヤン憎の頭にパン太郎が言った某漫画の台詞が蘇ってきた。

「もしかしてお前、まだ生きてられるとか思ってるんじゃないか?」

パン太郎が右手を振り上げた。
とっさに意を決した岸井と向井が止めに入った。
「勘弁してやってください…」「ホントはいい子なんです…!」
「ふざけるなよガキ共、こういうクソはぶっ壊してやんねえと気がすまねぇんだよ!」
パン太郎は両手を広げて二人を吹っ飛ばした。
「“詫び”は…」
震えながらヤン憎が言った。
「“詫び”はいれるっていったじゃねえですか…。な、な、何もここまでやんねえでも…。痛えよ、謝るからもう…」ヤン憎はついに涙を流し始めた。
「ハチだって…もう勘弁って、謝ってたじゃねえすか…何もブッ殺さなくてもよかったのに…。い、いいやつだったのに…」
他の二人も泣きだした。ギャラリーからも同情の声が聞え始めた。
「“詫び”なら入れる、もう、もう勘弁してくれよ…俺が悪かったからよお…」
「ソコ」
「え?」
次の瞬間、パン太郎のカカト落としが炸裂した。
ヤン憎の顔面が床に叩き付けられ、嫌な音がした。骨が砕ける音だ。
ヤン憎は顔も上げられずにお咽した。
「ソコ、ソコよ。俺が勘弁ならねえのはよ。何でてめえ俺に“詫び”んだよ?」
ヤン憎は「どういうこと?」と言いたげな表情に変わった。以前頭は下げたまま。
岸井と向田も同じだった。
「俺に喧嘩売ったんだろ?だったら俺が誰だろーがカンケーねえ、テメーの信念を持って俺にかかって来いや。俺は売られた喧嘩は買ってやるからよ。“一回切った上等は突き通す”これだけが喧嘩の礼儀よ。それをテメー等と来た日にはなんだア?名前だの実力だのが分かった瞬間“スイマセン”“ボクガワルカッタデス”…それでもテメエ等男かよ?!」
全員無言だった。
ヤン憎はいつの間にか顔を上げていた。
「俺だったら喧嘩売った相手が例え大統領だったとしようが、火星人だったとしようが、マイク・タイソンだったとしようがカンケーねえ。誰だろうが中指おっ立てて、とびっきりの“ディナー”に変えてヤンヨ!!」
「パン太郎さん…」
ヤン憎は全力を使って血まみれのまま立ち上がった。
そしてヤン憎は泣きながら右肩を押さえた。
岸井と向田はヤン憎に座るように言ったが、立ち上がるだけで全神経を集中してるヤン憎の耳には入らなかった。
そして、ヤン憎は何を思ったかパン太郎に向けて拳を振った。拳がパン太郎に届くよりも先にヤン憎は事切れた。
「あ、あのバカ何考えて…」
「いや…」
岸井は向田が喋るのを遮った。
「“喧嘩(ケジメ)”とったんだよ、あの野郎…」
パン太郎は微笑みながら倒れたヤン憎の肩を叩いた。
「お前の敗けだぜ、この“喧嘩”。」
気絶してるはずのヤン憎の目から涙が溢れた。
パン太郎は明太粉Tの方に向かって叫んだ。
「強くなったらまた来いよ。そしたら一発で“ヤサシク”沈めてやるからよ!」
ギャラリーの一人は「来いって、どこにだよ!お前ヨソモンだろ!」と突っ込みを入れたい気分だったが、場の空気を読んで、やめた。
その時、何と明太粉Tが立ち上がった。
みんな明太粉Tは死んだとばかり思っていたので驚愕した。
「“硬派(パンク)”…“硬派(パンク)”すぎるぜアンタ!」
「テンキュー」
ニヤリと笑った後、明太粉Tは倒れた。
ギャラリーの会話が聞こえた。
「アイツ、“硬派(パンク)”って言う為だけに気合い入れて立ち上がったんかい」
「それで死んだらバカもいいとこだぜ」
「馬鹿野郎!!」パン太郎の怒声が響いた。
「さっきの台詞、俺の“マジ本気(4Real)”な“硬派魂(Punk Heart)”にビン・ビン・ビンラディンに響いたぜ…。確に俺達“硬派(パンク)”は馬鹿よ。だったら馬鹿で上等!!“馬鹿”と書いて、“パンク”と読みな…。それが“本気硬派(リアルパンクス)”!!“本気馬鹿(リアルバカ)”よ!!」
パン太郎はかなり曲解したパンク感を語り切った。
「“馬鹿”とかいて…」
「“パンク”と読む…」
「それが…」
パン太郎が叫んだ。
「そう、それこそが“本気硬派(リアルパンク)”、“本気馬鹿(リアルバカ)”、真のバカパンクス魂よ!!俺の真のパンク魂が知りてえなら今夜の“GIG”に来な・・・。真のパンクを教えてやるぜ!」
パン太郎はビラを撒き散らしてパチンコ屋を後にした。
ビラにはこう書いてあった。

『太陽系最強のパンクス達の魂の叫びを聴きな!!“THE 4REAL PUNKERS”今夜デビュー!』
(続く)

# by gudon696 | 2006-06-28 17:06 | 日誌
忘れないでこの時間を
あんまりめんどくさくなったら「もう『寄生獣』と『ジョジョ』あればええやん」とか言い出しちゃいそうな日。

病院を脱走してJUDE「Shocking Black」を買ってきた。
JUDEといえば、「ベンジー、Jude始動!」ってニュースを聴いた時「え?シャーベッツあるのに?」とただでさえ疑問譜モンだったのが先行シングル「Devil」をTVで聞いて「何だコリャ」とガッカリして、シツコク聞いてたBlankey Jet Cityを封印したという因縁のバンドだ。
…といいつつセカンドシングル「silvet」は大好きで買ったけどね。

で、聴いたんだけど、いやー、カッコいいね!
当然Blankey Jet Cityのような強烈なグルーヴは無いし、ふにゃふにゃした曲多いけど、メロウな曲が軒並良い。“アクセル““海水浴”“Shampoo”そして“Silvet”。
一番ビックリしたのは“Devil”が今聞いたらカッコいい事だったりすんだが…Run!
そんで“何も思わない”は名曲。
今日から聴きこむぞー。


それとは別の話で、まあ昨日の続き。

例えば“デニスホッパー”(黒盤にも入ってるBJCの大名曲)を聞いてる時の感覚を誰かと共有したくて仕方なかったりしてもそれはうまく行かない事なんだなあ、と思う。
まず音と向き合ってもらうだけでも難しいし、それで聴いてもらったからといってどうなるとも限らない。
つまり「こんなのの何処がいいの?」となる事もあるって事だ。

だいたい、何を俺は求めて共感を得たがってるんだ?

俺がここ最近ツレから呆れられるくらいブランキーを聞いてるのはミーハー根性からくるモンとかではなく、今の自分の言葉がブランキーからボロボロ出てくるからだ。


“言いたい事なんてっぽっちもありゃしない
 知っているぜ皆ただのさみしがり屋”(Dynamite Pussy Cats)

“どれ程自然に誰かを愛しても
 どれ程真剣に誰かを愛しても
 僕達は永遠に一人きりだと
 最後まで”(斜陽)

“僕達は行き先を無くしてて
 毎日ほほえみ過ごす
 車の流れを見つめてるだけ
 瞬き一つせずに”(はくせいのミンク/シャーベッツ)

とまあ、ブランキーからボロボロ出てくるおれの気持。

「永遠に僕等は一人きりだ」と歌う寂しがり屋は何て優しいんだろう、と思うわけである。
よく、おれはブランキーの詞を人に説明する時「暗黒」「イカレ」とかシャレで言うが、実際にはそんな事思ってない。ブランキーの詞は全部希望だ。
「本当に良い曲はアコギ一本でならしても良い曲」という。大意では同意するが、したり顔で満足そうなヤツがおしゃれなアコギ片手にこういう事を言うと腹が立つ。
椅子に座って未来について希望いっぱいに歌えるならよかろう。
しかしエレキギターの爆音とイカレたドラムの怒音で絶望を吐き出す事でしか希望を歌えないヤツもいるのだ。
ロックってそういうものじゃないか?
そのまま歌われた希望や未来でしか、それを感じる事が出来ないのか?
ブランキーや、あるいは多数のパンクバンドが歌っている絶望を絶望としか思ってないのか?

そんなモンが聴きたいのならkinki kidsを聴くべきである。
彼等の曲は希望と愛でいっぱいだし、同性からすればイラつくくらいのイケメンだ。完璧じゃん。


唐突に言おう。だからこそ“綺麗な首飾り”はあんなに美しい曲なのだ。
ブランキーにしか鳴らせない、ブランキーだけの美しい音の塊だ。
もしkinki kidsが“綺麗な首飾り”をカバーしたとしたらきっと売れると思う。
だけど、きっとちっともカッコよくないだろう。


【今日の日記】

やはり退屈。ストーンズだらだら聴く。
林田と昨日電話で焼肉をやろうって話をしたせいか肉食いたくなる。
真選組大BBQ大会を開くべく、みんなが帰ってきたらドラム缶(まっぷたつに切って薪いれるのだ)を調達して、ビアーをもりもり用意して、「にゃむだー」とか言いながら僕等は酔いどれるのだ。

めんそれーたむのぶた!

# by gudon696 | 2006-06-28 11:41 | 日誌
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